ごあいさつ

このたび、第131回近畿救急医学研究会を開催させていただく運びとなりました。半世紀を超える歴史を有する本研究会の開催をお引き受けできることを、大変光栄に存じるとともに、その責任の重さを改めて感じております。

本研究会は、昭和48年の第1回開催以来、近畿地域を中心としながらも、日本の救急医学の発展と共に歩んできた歴史ある会です。救急医学の黎明期から現代に至るまで、救急医療の課題を広く議論し、実践の知を共有する場として、多くの医療者にとって大きな意味を持ってきました。その伝統を受け継ぎつつ、新たな時代を見据えて、今回は【救急・災害~次への一歩~】をテーマに掲げました。

救急・災害医療においては、常に「今ここ」の命に向き合いながらも、次に備えた歩みを止めてはなりません。たとえば、災害に備えるという視点においても、過去の経験を糧とし、教訓を活かして「次への一歩」に進む取り組みが求められています。平時からの体制整備、情報共有、他職種・多機関とのネットワーク構築、そして次世代の育成など、いずれも未来への投資であり、今を生きる我々が果たすべき責務です。

また、超高齢社会や医療人材不足、複雑化する疾病構造など、現代の医療現場には多くの構造的課題もひしひしと迫ってきています。それぞれの立場で何ができるか、どうすれば地域全体の救急医療の質を向上できるのかを考え、一歩前へ進む意識を共有できる場にしたいと考えております。

今回の研究会では、一般演題に加え、合同シンポジウムや教育講演を通じて、臨床・教育・制度・災害対応など幅広い観点から救急・災害医療の“これから”を議論してまいります。医師のみならず、看護師、救急救命士、薬剤師、臨床工学技士、放射線技師、社会福祉士など、救急に関わる多様な職種の皆様の積極的なご参加を心よりお待ちしております。

救急医療や災害医療の発展は、個々の力と地域の連携の両輪によって支えられています。本研究会が、現場の実践力を高め、明日からの一歩を踏み出す力となることを願ってやみません。また、参加者の皆様にとって、新たな学びや出会いを得る機会となることを心より期待しております。

第131回近畿救急医学研究会
会頭 髙階 謙一郎

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